インフルエンザと感染性胃腸炎の月別発生状況
2017年(平成29年)度共済制度感染見舞金の実績と評価 に戻る
- 1.本制度への加入者数と利用者数
- 2.都道府県別利用状況
- 3.最も多かった申請はインフルエンザ
- 4.申請が多かった感染症の詳細
- 5.インフルエンザと感染性胃腸炎の月別発生状況
- 6.当会におけるインフルエンザと感染性胃腸炎(ノロウイルスなど)の発生状況の比較
- 7.申請者の記録から見た感染症罹患場所
- 8.今後に向けて
国立感染症研究所が発表している過去10年間におけるインフルエンザの定点観測の週報と比較してみました。国レベルの週報数は健常者であり常に高い免疫力を持つ学生さんと比べるには無理があるかもしれませんが、発生のタイミングに大きな違いはないものと思われます。
共済制度では12月に入り罹患者が増え始め、年末年始を過ぎ1月に一気にピークを迎えました。その後2月に入り急激に下降し3月末には平常化しています。
国内全体の動きを見ても、第46週、いわゆる11月中旬くらいから始まり、年末に向かい増加し、年明けの第3週から第4週にかけてピークを迎えています。
2月に入り下降傾向を示すものの、警報レベルは全国に出続けています。その後の経過は共済制度のパターンと全く同じ様相を辿っています。
厚生労働省では、今シーズン(2017~2018年)の季節性インフルエンザの予測として、A(H1N1)亜型(平成21年に流行した新型インフルエンザと同じ亜型)、A(H3N2)亜型(いわゆる香港型と同じ亜型)、2系統のB型の4つの種類があり、いずれも流行の可能性があるとしていました。また、流行しやすい年齢層はウイルスの型によって多少異なりますが、今年も、全ての年齢の方がインフルエンザに注意する必要があるとしていました。その予測どおり、いわゆるA型とB型の両方の型が流行し、広い年齢層にわたり罹患することになりました。共済会の申請状況においても届け出があった範囲での調査ではA型、B型に有意な差はなく罹患しているといえました。また、A型に罹患し、一度治癒された後にB型に罹られた方も複数おられました。
今年度の流行経過は一昨年(2016年度)に比較し1~2週間程度遅れてスタートしたことが別表から明らかですが、国立感染症研究所が提供している週報から見ても、第45週(2017年11月6日~11月12日)に新潟県下に今年度初めての注意報が発令され、翌週の、第46週(2017年11月13日~11月20日)に警報に変わり、第48週(2017年11月27日~12月3日)まで、新潟県1件だけが唯一の警報県でした。その後、徐々に全国へ広がり、2017年最後の週である第52週(2017年12月25日~12月31日)には、全国の凡そ半数の都道府県にあたる26の道府県に警報が発令されました。年が開け、東へ西へと広がり、第2週(2018年1月8日~1月14日)では秋田県、山形県、宮城県、千葉県、富山県、石川県、奈良県、島根県の8県に注意報を残す以外、その他の都道府県には全て警報が発令されていました。翌第3週(2018年1月15日~1月21日)に入ると 、全国全ての都道府県に警報が発令され、3段階ある警報レベルも最高レベルに達し、第10週(2018年3月5日~3月11日)から第11週(2018年3月12日~3月17日)まで最高レベルのまま続くことになりました。
以下に、国立感染症研究所が自身のホームページで公開している感染の広がり(インフルエンザ流行レベルマップ)を、スタートから終息までを抜粋して掲載します。
(https://nesid4g.mhlw.go.jp/Hasseidoko/Levelmap/flu/2017_2018/trend.html )
新潟県にいきなり警報レベルが発令
日本全土が警報レベルへ
日本全土に最高レベルの警報が発令
気候が暖かくなる西から警報が注意報へとレベルが下がり、秋田県、岩手県が第18週(2018年4月30日~5月6日)まで注意報が残りましたが、翌第19週(2018年5月7日~5月14日)には全ての都道府県から注意報・警報がなくなりました。
西から警報が注意報へ、注意報が解除へ
インフルエンザ流行期間は終息が3月、4月と早い年もあるのですが、今シーズンは4月末迄でも注意報が消えない点がありましたが、昨年度より早期に終息したといえます。
2017~2018年シーズンのインフルエンザ流行レベルマップの公表については、この19週(2018年5月7日~5月14日)をもって終了としています。
この年の秋から来年に向けての対策は、やはり早めの予防接種といえます。予防接種の効果には個人差があり、インフルエンザに罹らないということはありません。もし、運が悪くインフルエンザに罹患した場合でも症状を重症化させないこと。周りに広く拡散させないという意味で大きな効果が期待できます。尚、予防接種は接種後2週間前後で免疫を獲得し5ヶ月程度持続するといわれています。
一方、感染性胃腸炎はどうでしょうか。感染性胃腸炎といってもさまざまな原因があります。原因となる病原体には、ノロウイルス(Noro virus)、ロタウイルス(Rota virus)などのウイルスのほか、細菌や寄生虫もあります。しかし、成人にとって感染性胃腸炎の代表格はなんといっても遺伝子型GⅠ、GⅡタイプのノロウイルスによる感染でしょう。
厚生労働省では2018年5月31日に「ノロウイルスに関するQ&A」と題し、新しいリーフレットを公開しています。このリーフレットでは、ノロウイルスの解説、発生状況、症状、診断・治療、食中毒の予防や対策に至るまで詳細に記されていますので、現状では最も良い資料といえます。是非一度はご覧いただくと良いでしょう。
当会でも既に報告の通り、ノロウイルスなどの感染性胃腸炎は、インフルエンザについて多く発生していることはご承知いただけたと思います。2016年度と比べて2017年度が申請件数も多く、共済制度利用の周知が少しは進んだものと思われます。