令和2(2020)年度
研究助成候補者募集のお知らせ
研究サポート提供枠
2020年度 研究助成対象者1名が決まりました。
京都中央看護保健大学校 新屋 智子 様
研究テーマ
「学校が主体的に学ぶ授業計画とは ―ジグソー学習法を導入した基礎看護技術の研究から―」
研究成果物の報告
掲載雑誌
日本看護技術学会 第19回学術学会 掲載誌はこちら背景
看護基礎教育検討会の報告書(2019)は、2022年のカリキュラム改正における看護師教育について「学生が主体的に学ぶことができる教育方法を推進」している。研究者は学生の主体性育成を狙い、基礎看護技術の授業にジグソー学習法を導入している。目的
本研究は、ジグソー学習法を導入した授業において教員が意図通りに発言を操作できているかを点検するとともに、教員・学生の発言を測定・分析し、学習者である学生の発言をどの程度増やすことが可能かを測ることを目的とする。方法
3年課程4年制のA看護学校の1年次学生が受ける2020年度の全15回のフィジカルアセスメントを学ぶ基礎看護技術の授業のうち、8回目の授業(実習室での対面方授業)における学生41名と教員1名の発言を分析データとした。8回目の授業は、学生間の関係性が一定程度構築でき、前授業で学生が作成した指導計画書の修正が完了し、活動イメージが固まる時期であるため、本研究題材に適している。授業担当教員1名(研究者)と学生41名の授業中の発言を録音し、逐語録を作成した。授業中盤のカウンターパートセッションは学生のグループ学習であり教員は発言はないため分析対象から外し、授業を授業開始からカウンターパートセッション開始までの前半とカウンターパートセッション終了から授業終了までの後半で2区分した。授業中盤のカウンターパートセッションは学生のグループ学習であり教員発言はない為、分析から除外した。逐語録データはフランダース授業分析法(FIACS-Flanders Interaction Analysis Categories System)で分析した。結果
授業の前半(17分42秒)と後半(14分30秒)の発言総数は607タリ(タリは発言数の単位)で、教員発言率57.5%、学生発言率35.6%、沈黙混乱率6.9%であった。授業前半の発言数は353タリで、教員発言率68.3%、学生発言率25.5%、沈黙混乱率6.2%であった。授業後半の発言数は254タリで、教員発言率42.5%、学生発言率49.6%、沈黙混乱率7.9%であった。FIACSは、教員発言の性質を、講義・指示・批判・正当化に相当する直接的影響の発言と、感情を受け入れ・賞賛・アイディア受け入れ・発問に相当する間接的影響の発言に分類・分析をする。教員発言率[間接的影響]は授業前半13.6%、授業後半10.2%であった。教員発言率[直接的影響]は授業前半54.7%、授業後半32.3%であった。本授業では、学生の発言活性化を狙い、授業後半の教員発言を減少させることを意図して運営している。授業後半での教員発言率減少は、意図に沿った発言操作ができていたことを示している。授業後半での教師発言率減少に伴い、学生発言率は、授業前半25.5%、授業後半49.6%と、授業後半に大きく増加を示した。結論
ジグソー学習法を導入した基礎看護技術の授業は、従来型の知識伝達型授業と比較し、教員発言率と沈黙混乱率が低く、学生発言率を高める。特に、授業後半にかけて、学生の発言が授業前半の2倍に増加したことは、学生の学習の主体性を大きく引き出すことがわかった。※2020年度研究助成候補者の応募は締め切りさせていただきました。
2020年度実施研究用(2019年募集)
当会の全会員を対象に、教育及び臨床の場での研究活動を推奨し、
教育や臨床現場の一層の充実と質の向上を図ることを目的に、下記の要領で研究助成候補者を募集します。
研究サポート提供
教育現場で教育実践にあたる教員の研究活動の振興を図ることを目的とし、研究計画書作成から研究実施、結果の取り纏め、発表資料作成及び投稿に至るまで継続サポートを提供します。
1.研究テーマ
- 看護教育全般
- 看護以外の医療・福祉に関する教育全般
- 臨床領域での研究全般
- 教育及び臨床領域での安全管理に関するもの
- その他、審査委員会において助成対象の研究であることが認められたもの
2.応募資格
- 上記の研究テーマに関する領域の業務に従事しているもの
- 「総合補償制度Will」または「Willnext」に加入し、当会の会員である個人又は当会の会員が所属するグループ
- 看護教員、医療技術等教員であること。
- 研究計画立案、研究の実施、集計、発表資料(論文や抄録等、応相談)作成、発表用資料作成研にあたり教育的サポート(指導・助言等)を受けながら、研究についての学びを深めることを希望する者及びグループ。
3.研究助成金額および助成件数
- 提供サポート:研究計画立案、研究の実施、集計、発表資料(論文や抄録等、応相談)作成、発表用資料作成に至るまで、看護研究専門家による対面指導及びメール指導(対面指導4〜5回程度、メール指導10回程度を目安とするが応相談)を含めた継続的なサポートを提供する。対面指導の場所は、研究者所属機関あるいは当会提供の会議室等で、助成決定後に応相談。
- 助成金:研究計画書立案段階で、研究費用が発生する際には、1件につき10万円を上限とし、講師の認定の下で、研究にかかる費用の提供を受けることが可能である。
- 助成総数:年間数件
4.応募方法
研究サポート提供枠用の指定応募書類に必要事項を記入し(応募研究テーマに関連する文献のコピーを1部添付)、所属養成機関の上司の推薦を受ける。
5.応募期間と提出方法
2019年10月1日~11月5日(必着)、郵送のみ
6.審査方法
当会の審査委員会において審査を行い、助成対象者を決定する。
7.審査結果のお知らせ
2019年12月末日までに最終審査結果の通知を行う。
8.助成決定後の流れ
- 助成決定後、2019年度中(2020年2・3月中)に、主任研究者は講師と初回の打ち合わせを行う。その際、対面指導の日程、場所、回数について打ち合わせをする。
- 2020年度中に、以下のサポートを受け、年度内に研究を取りまとめる。
- ① 研究計画立案
- ② 研究の実施
- ③ 集計
- ④ 発表資料(論文や抄録等、応相談)作成
- ⑤ 発表・投稿
2020年度の応募は締め切りさせていただきました。