インフルエンザと感染性胃腸炎の月別発生状況

2016年(平成28年)度共済制度感染見舞金の実績と評価 に戻る

国立感染症研究所が発表している過去10年間におけるインフルエンザの定点観測の週報と比較してみました。国レベルの週報数は、健常者であり常に高い免疫力を持つ学生さんと比べるには無理があるにしても発生のタイミングには大きな違いはないと思われます。
共済制度では11月半ばくらいを皮切りに年末年始を過ぎ1月に一気にピークを迎えました。2月に入り急激に下降し3月末には平常化しています。

国内全体の動きを見ても、第46週、いわゆる11月中旬くらいから始まり、年末に向かい増加し、第3週から第4週にかけピークを迎えています。その後の経過は、共済制度のパターンと全く同じ様相を辿っています。
国立感染症研究所では、今シーズン(2016〜2017年)の予測では、例年より1ヶ月ほど早く、11月中旬に流行期に入ると予測していましたが、早いアナウンスが皆様の警戒心を強くさせたのか、第44週(2016年10月31日〜同年11月6日)までは0件でしたが、第45週に入り北海道、群馬県から始まり、第49週(12月5日〜12月11日)に入り東日本全体に広がりを見せました。実際の流行期は例年通り12月となりました。第50週(12月12日〜12月18日)に入り、北海道に初めて警報が発令され、最終週の52週(12月26日〜2017年1月1日)には北海道、秋田県、新潟県、群馬県、茨城県、愛知県、大阪府、福岡県に警報が発令されました。
特記すべきは、この時点で山形県だけには注意報、警報共に発令されていなかったのです。この後は、皆様ご推察の通り、一気に全国へ広がりを見せ、第4週(2017年1月23日〜1月29日)以降、人口密集地域を中心に警報レベルが続くことになります。日本地図で表記される「インフルエンザ流行レベルマップ(国立感染症研究所)」でみると、九州全土、中・四国、近畿、関東が真っ赤に染まった状態でした。 2月末の第9週(2月27日〜3月5日)になり、奈良県、和歌山県が警報、注意報全て解除され、対岸の徳島県から東へ、西へと解除が進み、原稿を作成している、第21週(5月22日〜5月28日)では岩手県に出ている注意報を残すのみとなっています。

過去を遡り傾向を考えると、2009年では第42週(2009年10月12日〜10月18日)で北海道に警報が発令され、第47週(11月16日〜11月22日)で全国に広がり、特別流行が早かった年でした。このことを考えると、今シーズンは例年並みか、少し早めといったところでしょう。
終息が3月、4月と早い年もあるのですが、今シーズンは5月末迄なお注意報が消えない点が特徴的です。

今年の秋から来年に向けての対策は、やはり早めの予防接種といえます。予防接種の効果には個人差があり、インフルエンザに罹らないということはありません。もし、運が悪くインフルエンザに罹患した場合でも症状を重症化させないという意味では大きな効果が期待できます。尚、予防接種は接種後2週間前後で免疫を獲得し約5ヶ月程度持続するといわれています。
一方、感染性胃腸炎はどうでしょうか。感染性胃腸炎といっても様々な原因があります。原因となる病原体には、ノロウイルス(Noro virus)、ロタウイルス(Rota virus)などのウイルスのほか、細菌や寄生虫もあります。しかし、成人にとって感染性胃腸炎の代表格はなんといても遺伝子型GⅠ、GⅡタイプのノロウイルスによる感染でしょう。
厚生労働省では2016年11月22日に「感染性胃腸炎の流行に伴うノロウイルスの感染予防対策の啓発について」の事務連絡を各都道府県の行政並びに傘下の医療機関へ宛て通知しました。この通知では、2016〜2017年度における感染情報の動向、Q&A、予防対策などが記載されていました。この後、流行シーズンに入ったことになります。42週(10月17日〜23日)〜43週(10月24日〜30日)から急激に増え始め、50週(12月12日〜12月18日)にピークを迎えました。

感染性胃腸炎は、年間を通じて発生が0件になることはなく、6月に小さな発生と年末年始に大きな山があります。この山のピークは2017年1月上旬でした。これも同様に全国の発生状況と比較し、大きな差はありませんが、全国の発症時期と比べると共済制度が半月ほど遅れて発生しているようです。
(図5・図7・図8・図9)

1 厚生労働省・感染症サーベランス事業により、全国約5,000のインフルエンザ定点医療機関を受診した患者数が週ごとに把握されています。 過去の患者発生状況をもとに設けられた基準値から、保健所ごとにその基準値を超えた場合に、注意報レベルや警報レベルを超えたことをお知らせする仕組みになっています(詳細は「警報・注意報システムとは」をご覧ください)。 これらはあくまで流行状況の指標であり、都道府県として発令される「警報」とは異なります。

日本看護学校協議会共済会
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