倫理綱領

人を対象とする調査・研究に関する倫理指針

2016年5月26日
例規第01号
一般社団法人日本看護学校協議会共済会

一般社団法人日本看護学校協議会共済会

(目的)

第1条

この指針は,一般社団法人日本看護学校協議会共済会(以下,当会という。)及び一般社団法人日本看護学校協議会(以下,「協議会」という。)に所属する研究者または当会若しくは協議会が指名した研究者(以下,研究者という。)が当会若しくは協議会の事業に関わる人を対象とする調査・研究(以下,調査・研究という。)を行う場合の行動および態度について,倫理的指針および研究計画の審査に関する事項を定める。

(研究の基本)

第2条
  1. 研究者が調査・研究を行う場合は,個人の生命,尊厳および基本的人権を重んじ,科学的かつ社会的に妥当な方法・手段によりその研究を遂行しなければならない。
  2. 研究者が,調査・研究を行う場合は,安心かつ安全な方法で行い,対象者の身体や精神的負担を最小限にするよう努めなければならない。
  3. 研究者が,2のうち,臨床研究を行う場合には,厚生労働省策定の「臨床研究に関する倫理指針」の内容を把握の上,審査申請を行うこととする。

(定義)

第3条

この指針において,次の各号にかかげる用語の意義は,当該各号に定めるところによる。

  1. 「調査・研究」とは,個人または集団を対象に,その情報またはデータ等を収集,採取する作業を含む。
  2. 「情報またはデータ等」とは,個人または集団の特性としての思想,心情等の心理・社会的情報またはデータ,個人または集団の身体,行動および環境等に関する情報またはデータ,個人または集団の人体から取得された血液,体液,組織,細胞,排泄物及びこれらから抽出したDNA等,人の体の一部試料に関する生物学的情報またはデータのことをいう。
  3. 「研究対象者」とは,研究のための情報またはデータ等を提供し,研究対象となる者をいう。

(研究者の説明責任)

第4条
  1. 研究者が,個人または集団の情報またはデータ等を収集または採取する場合は,研究者は研究対象者に対して研究目的,研究計画および研究成果の発表方法等について,研究対象者が理解できる言葉で説明しなければならない。
  2. 研究者は,個人または集団の情報,データ等を収集または採取する場合は,研究対象者に対し何らかの身体的または精神的負担を伴うことが予見されるとき,その予見される状況を研究対象者が理解できる言葉で説明しなければならない。

(インフォームド・コンセント)

第5条
  1. 研究者が,個人の情報またはデータ等を収集・採取するときは,予め研究対象者の同意を得ることを原則とする。
  2. 「研究対象者の同意」には,個人の情報またはデータ等の取扱いおよび発表の方法等に関わる事項を含むものとする。
  3. 研究者は,研究対象者が不利益を受けることなく研究実施期間においていつでも,同意を撤回し研究への協力を中止する権利,および当該情報またはデータ等の開示を求める権利を有することを研究対象者に周知しなければならない。
  4. 研究者は,研究対象者が同意を撤回した場合は,当該個人の情報またはデータ等を廃棄しなければならない。

(個人情報の保護)

第6条

研究者は,プライバシー保護の重要性を認識し,調査・研究のために収集した資料,情報,データ等で特定の個人を識別できるもの若しくは個人を識別できるものは,これを他に漏らしてはならない。

(情報・データ等の利用及び管理)

第7条

研究者は,調査・研究のために収集した資料,情報,データ等の滅失,漏洩,改ざん等を防ぐために保管方法,場所等について適切な措置を講じなければならない。

(研究成果の発表)

第8条
  1. 研究者は,研究の成果を広く社会に還元するために,その成果を公表しなければならない。ただし,知的財産の取得及びその他合理的理由のため公表に制約のある場合は,その合理的期間内において公表しないものとすることができる。
  2. 研究者は,他者の成果を自己の成果として発表してはならない。
  3. 研究者は,研究成果の発表に際しては,先行研究を精査し尊重するとともに,他者の知的財産権を侵害してはならない。

(研究費の取り扱い)

第9条
  1. 研究者は,研究費が当会会員の会費や公共団体等からの寄付金等によって賄われていることを留意し,研究費の適正な使用,管理に努めなければならない。
  2. 研究者は,交付された研究費を当該研究に必要な経費のみに使用しなければならない。
  3. 研究者は帳票類等を適切に管理し,会計報告においてはその真実を明瞭に記載しなければならない。

(第三者への委託)

第10条

研究者が第三者に委託し,個人の情報もしくはデータ等を収集または採取する場合は,この指針の趣旨に則った契約を交わして行わなければならない。

(事務)

第11条

この指針に関する事務は,当会事務局が行う。

(改廃)

第12条

この指針の改廃は,当会理事会において決定する。

附則

この指針は,2016年5月26日から施行する。

及び一般社団法人日本看護学校協議会倫理委員会規定

2016年5月26日
規定第02号

(委員会の任務)

第1条

日本看護学校協議会共済会倫理委員会(以下,委員会という。)は,一般社団法人日本看護学校協議会(以下,「協議会」という。)及び一般社団法人日本看護学校協議会共済会(以下,「共済会」という。)が定める調査・研究倫理指針(以下「指針」という。)にもとづき,協議会又は共済会から本規定に定める委員会に申請のあった調査・研究の実施計画および公表計画等(以下「研究計画等」という。)の適否その他の事項について審査を行う。

(委員会の構成)

第2条

委員会は,次の定めにより構成する。

  1. 委員会は5名を定数とする。
  2. 委員は協議会及び共済会の両会長の協議により次項の定めに基づいて推薦し,当会理事会の承認を経て委嘱する。
  3. 委員会には,委員長及び副委員長をおく。
  4. 委員長は委員の互選により選出し,副委員長は委員長が指名する。
  5. 委員長は,委員会を招集し,その議長となるとともに委員会を統括する。
  6. 副委員長は委員長を補佐し,委員長に支障があるときは,その職務を代行する。

委員の構成は以下のとおりとする。

  1. 協議会正会員1名
  2. 共済会正会員1名
  3. 有識者3名

委員の任期は原則として2年とする。ただし,再任を妨げない。

委員会の事務局は,共済会に置く。

(成立および議決要件)

第3条
  1. 委員会は,委員の過半数が出席することをもって成立し,審査の判定は総委員の3名以上の承認をもって決する。但し,次項の定めにより1名以上の委員が審査に加わることができないときは総委員の過半数の承認を以て決する。
  2. 審査の判定以外の議事については,委員の過半数が出席することを以て成立し,出席委員の過半数を以て決する。
  3. 委員は,自らが研究代表者,共同研究者および研究協力者となる研究に係る審査に加わることが出来ない。
  4. 委員会は,必要に応じて,委員以外の者から審査のための意見等を聴取することができる。

(審査の手続き等)

第4条
  1. 委員会が行う審査は,協議会または共済会が実施主体となる調査研究に限りその対象とする。
  2. 委員会は,前号により提出された書面を以て審査を行う。
  3. 委員会は,必要に応じて申請者に出席を求め,申請内容等の説明を聴取することができる。ただし,申請者は審査の議論に参加することはできない。

(利益相反)

第5条

委員会は,申請された調査,研究に携わる研究者と利害関係が想定される第3者との関わり(利益相反)について,当該調査,研究の公正及び信頼性を確保するために,次の是正措置を指示することができる。

  1. 当該研究計画の修正。
  2. 利益相反状態にある担当研究者の当該調査,研究への参加形態の変更。
  3. 利益相反状態にある担当研究者の当該調査,研究への参加のとりやめ。
  4. 利益相反状態を生み出す関係の分離。
  5. 利益相反状態にある担当研究者の当該調査研究に関わる経済的利益の放棄。
  6. その他,委員会が適切であると認めた是正措置の指示。

(成果の帰属)

第6条

委員会の承認を経て実施された調査研究の成果は,協議会または共済会に帰属するものとする。

(成果の公表)

第7条
  1. 委員会の承認を経て実施された調査研究の成果は,協議会または共済会が管理する媒体を通じて公表する。
  2. 当該調査研究に参加した研究者が,個人の責任においてその成果を発表することについてはこれを妨げないが,発表にあたっては事前に協議会または共済会に報告しなければならない。

(審査の手続き等)

第8条
  1. 委員会の審査を希望する研究者(以下「申請者」という。)は,所定の「研究倫理審査申請書」及び「調査・研究計画書」等を委員会に提出しなければならない。
  2. 委員会は,前号により提出された書面を以て審査を行う。
  3. 委員会は,必要に応じて申請者に出席を求め,申請内容等の説明を聴取することができる。ただし,申請者は審査の議論に参加することはできない。

(審査の判定)

第9条

審査の判定は,次の各号のいずれかとする。

  1. 承認
  2. 条件付承認
  3. 変更の勧告
  4. 不承認
  5. 非該当

(審査の結果)

第10条
  1. 委員長は,審査の結果を速やかに申請者に通知するとともに,当会に報告しなければならない。
  2. 研究者および調査・研究に関わる者等は,決定内容に疑義があるときは,委員会に説明を求めることができる。

(再審査)

第11条

審査の判定に異議のある申請者は,異議の根拠となる資料を添えて,委員会に再審査の申請をすることができる。

(研究遂行中の審査)

第12条
  1. 委員会が第5条の判定を行った調査・研究計画等について,申請者がその計画等の変更をしようとする場合は,その変更内容について委員会の承認を得なければならない。
  2. 開始時に審査を経ていない調査・研究等について,遂行中に研究者が委員会の審査を希望する場合は,委員会は審査の申請を受け付ける。
  3. 第5条,第6条,第7条の規定は,前2項の場合にも準用する。

(実施状況の報告および実地調査)

第13条
  1. 委員長若しくは委員会の過半数の委員が,調査・研究等について必要があると判断したときは,申請者に対し実施状況を報告させることができる。報告は,書面をもって行うものとし,手続については委員会において定めるものとする。
  2. 委員会は,調査・研究等が研究計画等に沿って適切に行われているかを随時実地調査することができる。調査・研究の方法その他必要な事項は,委員会において定めるものとする。

(研究等の変更又は中止の勧告)

第14条

委員長は,調査・研究遂行中に委員からその計画等に対して合理的な変更または中止の意見があった場合には,その意見を踏まえ調査・研究等の変更または中止を勧告することができる。

(議事要旨等の公開)

第15条

委員会の議事要旨(研究課題名,申請者,研究期間および審査の結果等を含む),委員会の構成ならびに委員の氏名および所属等は,公開する。ただし,研究対象者等の人権,研究の独創性,知的財産権の保護等に支障が生じるおそれのある部分は,委員会の決定により非公開とすることができる。

(記録の保存)

第16条
  1. 委員会の審査に関する記録の保存期間は,法令上別段の定めがある場合を除き,5年間とする。
  2. 保存期間を経過した記録でさらに保存が必要と委員会が認める記録は,5年以内の範囲で保存期間を延長することができる。
  3. 保存期間の起算日は,研究の終了または中止の日の翌日からとする。

(守秘義務)

第17条

委員は,申請書類などに表れた研究対象者に関する情報や広義の知的財産となる可能性のある方法など,業務上知り得た秘密を他に漏らしてはならない。その職を退いた後も同様とする。

(事務)

第18条

委員会の事務は,当会事務局が行う。

(雑則)

第19条

本規定の実施のために必要な事項は,委員長が別に定める。

(改廃)

第20条

本規定の改廃は,委員会の議を経て当会理事会が行う。

附則

この規定は,2016年5月26日から施行する。

議事要旨

  1. 研究課題名:医療従事者養成施設におけるワクチンで予防可能な感染症に関する調査
  2. 申請者:奥田 三奈(一般社団法人日本看護学校協議会 顧問)
  3. 研究機関:2016年6月〜2017年3月

日本看護学校協議会共済会
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