令和元(2019)年度の事故の傾向
総合補償制度「Will」で令和元(2019)年度に報告された、事故と補償の例を掲載します。
医療・福祉系学生の皆さまが「Will」を活用して、学校生活で直面するリスクへ対応するために、どのような場合に事故が発生しやすいか、補償の目安は金額にしてどの程度なのかを、知る必要があるでしょう。当該ページの情報を参考にして、会員の皆さまが安全な学生・学校生活を送られることを、心から願っています。
1・全体の事故状況
1−1 「Will」の現状-医療系学生の幅広い加入
総合補償制度「Will」の加入者数は令和元(2019)年度で243,498人になりました。前年度より2,557人の増加になっています。(図1)
「Will」は看護系学生さんの約8割の方にご加入いただいき、またそれ以外の理学・作業療法士、歯科衛生士などを目指す学生さまにも幅広くご加入、活用いただいています。(表1) プライベートでの傷害事故などの補償を含む、「Will3」と「Will3DX」、また教職員用「Will」のご加入も増加しています。(表2)
学科別「Will」加入状況(学科数) | |||
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看護関連(教育形態別) | |||
高等学校(5年一貫・衛生看護・専攻科) | 89 | ||
准看護学校 | 172 | ||
2年課程 | 122 | ||
3年課程 | 463 | ||
短期大学 | 15 | ||
大学 | 249 | ||
統合カリキュラム | 12 | ||
助産・保健等 | 208 | ||
1,330 | |||
看護以外の医療及び介護関連(国家資格) | |||
理学療法 | 76 | 薬剤 | 11 |
作業療法 | 58 | 鍼灸あんま | 23 |
言語聴覚 | 18 | 歯科衛生 | 88 |
臨床検査 | 49 | 歯科技工 | 7 |
診療放射線 | 16 | 介護福祉 | 30 |
臨床工学 | 28 | 社会福祉 | 16 |
視能訓練 | 8 | 精神保健 | 10 |
救急救命 | 20 | その他 | 105 |
加入学科数合計 | 1,893 | ||
令和2(2020)年3月末日 |
タイプ別「Will」加入状況 | ||
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総人数 | 243,498 | |
教職員 | 19,288 | |
学生タイプ別 | will1 | 13,867 |
will2 | 183,394 | |
will3 | 20,476 | |
will3DX | 3,998 | |
will通信 | 2,475 |
1−2 Willの事故状況−感染抑制で減少傾向
令和元(2019)年度に「Will」で報告があった事故の件数は、合計8,436件で、平成30(2018)年度の11,126件に比べると、2,690件減少しました。
「Will」は加入者数の増加と、補償内容の充実によって、事故報告件数が増加する傾向にあります。減少したのは、珍しい現象です。
これはインフルエンザの感染事故の報告が減ったためです。令和2(2020)年1月ごろから世界的に、新型コロナウイルスの流行が始まり、日本でも、マスクをする、手洗いをする、外出を抑制するなどの感染対策を講じる人が増えました。そのためか、毎年インフルエンザの感染報告の多い1月から3月にかけて、令和元(2019)年度の報告数が前年度を大きく下回りました。(図3)新型コロナウイルス対策としての感染防止策が、インフルエンザの感染防止に役立ったのではないかと推測されます。
「Will」は、医療・福祉系学生の皆さまが学生生活を送る際に起きるさまざまなリスクに備える補償制度です。加入者の方のケガ等への傷害補償、交通事故等で賠償責任が生じた場合の賠償補償を行なっています。またインフルエンザのような感染に対しては共済制度を使った補償、実習生が媒介し臨地実習先などに感染症を広げてしまう二次感染事故についても補償を行っています。
補償の内訳は、令和元(2019)年度では、傷害事故、賠償事故、共済制度による賠償事故の順になっています。(図4)
2・感染事故の状況(二次感染事故を中心に)
2−1 感染事故の傾向−インフルエンザが中心
「Will」では、日本看護学校協議会共済会が、共済制度の一環として、感染症に対して見舞金の形で補償を行っています。詳細は共済制度見舞金の実績と評価を参照してください。
また「Will」は新型コロナウイルスの本人の罹患に対して補償をしています。さらに本人の罹患だけではなく、感染症の二次感染(本人を媒介にした第三者への感染)に対しても補償を行います。
感染事故の補償申請は例年と同様にインフルエンザが突出して多く、ノロウイルスなどによる感染性胃腸炎、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎などが報告されています。(表3)
表3 事故報告件数
感染症種別の補償申請状況(令和元(2019)年度) | |
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感染症名 | 件数 |
インフルエンザ | 1,865 |
感染性胃腸炎 | 225 |
A群溶血性レンサ球菌咽頭炎 | 58 |
流行性角結膜炎 | 41 |
マイコプラズマ肺炎 | 23 |
手足口病 | 16 |
百日咳 | 9 |
水痘 | 7 |
無菌性髄膜炎 | 7 |
咽頭結膜熱 | 6 |
腸管出血性大腸菌感染症 | 3 |
流行性耳下腺炎 | 3 |
ウイルス性肝炎 | 2 |
疥癬 | 2 |
急性出血性結膜炎 | 1 |
尖圭コンジローマ | 1 |
風疹 | 1 |
その他 | 57 |
合計 | 2,327 |
2−2 二次感染事故の状況−インフルエンザ、警戒の必要
「Will」では、臨地実習中の二次感染(感染の恐れがある場合を含む)が発生した場合に、第三者の検査・予防措置費用、治療費等を、メディカル少額短期保険(株)の引き受けで補償しています。他に類例のない補償として、多くの方にご活用いただいております。
また「Will」では、臨地実習先で学生さんが感染症罹患者と濃厚接触するなどして、感染が広がる恐れのある場合に、感染の検査や予防措置費用を、50万円を限度とする実費で補償しています。令和元(2019)年度には589件の報告(同一事案への複数の支払い含む)がありました。
二次感染事故の報告は今年度の12件の報告のうち、11件がインフルエンザ、1件が感染性胃腸炎でした。
以下に平成30(2018)年度、令和元(2019)年度に報告された、二次感染事故例と補償額を紹介しますので、参考にしてください。
二次感染事故例
インフルエンザ | |
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事故内容 | 保険金(円) |
臨地実習終了後の翌々日、学生がインフルエンザA型に罹患していることが判明し、実習施設の利用者ならびスタッフに薬の予防投与をした。投与は利用者46名、職員46名の92名分になった。 | 300,617円 |
臨地実習の後で、学生がインフルエンザを発症し、受け持ち患者と同室の患者3名に接触していた。医師の指示で受け持ち患者が予防薬を7日間服用、同室の患者3名が1回服用した。 | 15,910円 |
マイコプラズマ肺炎 | |
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事故内容 | 保険金(円) |
学生が臨地実習の後で体調を崩して受診をしたところ、マイコプラズマ肺炎と診断されたため、実習病院へ報告した。その結果、実習先の受け持ち患者は施設へ退院の予定であったが、予防のために入院期間が18日間に延長された。この延長によりかかった入院費用を補償した。 | 28,070円 |
風疹 | |
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事故内容 | 保険金(円) |
学生が病院実習の終了後に、下肢発疹が出て発熱したため受診した。検査の結果、風疹と診断された。「診断日の7日以内に接触した者は感染のリスクがある」ために、濃厚接触した実習先病院の患者および職員に風疹の抗体検査が実施された。 | 307,940円 |
水痘 | |
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事故内容 | 保険金(円) |
感染経路は不明だが、学生が水痘に罹患した。病院実習中であり、濃厚接触者3名に指導者1 名、患者2 名に水痘ワクチンを接種した。 | 17,280円 |
疥癬 | |
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事故内容 | 保険金(円) |
学生は病院実習終了後に、受け持ち患者が疥癬に罹患していることが判明した。それに気づかないまま次の実習病院で実習を行った。受け持ち患者は3人部屋に入院していたため、感染の恐れのある患者3名、スタッフ23名を対象に薬を投与した。 | 20,304円 |
帯状疱疹 | |
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事故内容 | 保険金(円) |
学生が、右手掌に発疹がでたものの、受診せず、実習中に新生児2名に素手で直接接触した。教員に発疹を指摘され受診したところ、帯状疱疹と診断された。医師の指示で直接接触した2名の新生児の母親の抗体価を検査した。 | 5,957円 |
実習中の感染事故予防 | |
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事故内容 | 保険金(円) |
病院実習中に患者が使用した後の麻酔用注射針を片づける際に、学生が誤って指に刺してしまった。医師の指示で、感染症等の検査を行った。 | 34,500円 |
学生が実習中に、インフルエンザに感染の疑いのある患者と濃厚接触をした。感染はしていないことが確認されたものの、実習指導者および、実習先の医師の指示で予防薬を投与された。 | 48,000円 (内訳:6000円×8人分) |
二次感染の報告件数は令和元(2019)年度では12件と少ないですが、一度この事故が発生すると多くの人を巻き込んでしまいます。特に、令和2(2020)年から新型コロナウイルスが世界的に流行しています。この感染症での、医療機関における二次感染事故が懸念されています。学生の皆さまは二次感染事故を起こさないように注意が必要でしょう。
3・傷害事故の状況
3−1 傷害事故の全体状況−登下校中に注意
「Will」で報告された令和元(2019)年度の傷害事故は、数で3,062件、前年度比で10件の減少と大きな変化はありませんでした。例年、登下校中、学校管理下のスポーツ、学内での授業が大きな割合を占めます。通学や実習先への移動での交通事故への注意が必要です。(図5)
傷害事故における、通院、入院日数は1-3日の請求が中心です。(図6、図7) 「Will」は通院・入院1日目から補償を行なえるよう、補償不可期間である免責日数を設定しておりません。そのため、短い通院日数の事故が対応でき、それを軸とした請求になっていると推測されます。
3−2 移動時に起こった傷害事故の発生状況―自転車事故に注意
事故が発生した移動方法では、自転車事故が例年多く、徒歩、原付・バイク、車の順で報告がありました。(図8)
自転車の事故では、被害者の重症化や死亡事故が増加し、賠償金も高額化の傾向が全国であります。「Will」にご加入の皆さまの事故でも同じ動きがあります。自転車は手軽で便利な乗り物である一方で、その危険性を深く認識しないまま利用しがちです。自転車による事故、他者による巻き込まれ事故に気をつけましょう。
移動での傷害事故例
徒歩 | |
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事故内容 | 保険金(円) |
授業を終えた学生が、コンビニで買い物を済ませ横断歩道に向かって歩いている時に自動車とバイクの接触事故が発生した。そのバイクが突っ込んできて学生にぶつかり、救急車で搬送された。左腕を打撲、左足を捻挫した。 | 98,400円 |
バイク | |
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事故内容 | 保険金(円) |
学生が朝の通学のため、原付バイクで狭い道路を運転していた。学校の500メートル手前で転倒し、頭部打撲、顔面、手、足等に擦り傷を負った。 | 36,000円 |
自転車 | |
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事故内容 | 保険金(円) |
学生が自宅から駅へ自転車で通学中、信号のない十字路を横断しようとしたところ、右側から来た車と接触した。自転車が倒れ、打撲と捻挫を負った。 | 177,400円 |
3−3 学校で起こった傷害事故の発生状況−体育で発生目立つ
学校内で起こる傷害事故では、体育の授業中での事故が最も多く、2番目が授業中等、そして部活・サークル活動となります。体を使った活動での発生が目立ちます。(図9)
男女混合でスポーツ競技などを行う場合に、男性の体の方が大きいために女性に負担が加わり、ケガをする例が報告されています。
また休み時間や放課後の課外活動での事故も報告されています。緊張が緩み、注意力が低下している際に、事故が起こりやすくなると推測されます。
学内での傷害事故例
体育でのケガ | |
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事故内容 | 保険金(円) |
体育の授業の際、男女合同でサッカーを行い、女子学生がボールを蹴る際に、男性学生とぶつかり、体勢を崩して右足首を捻挫した。 | 3,000円 |
学校内でのケガ | |
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事故内容 | 保険金(円) |
学生が教室に入ろうとした際に、友人と話して前を見ていなかったため、扉に肩をぶつけて転んでしまった。肩の靭帯を損傷し、骨にひびが入った。 | 12,000円 |
学内演習でのケガ | |
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事故内容 | 保険金(円) |
義歯修理の実習の学生が、歯科用瞬間接着材を使用する際、ボトルを強く押したために液が勢いよくとび出してきて左目に入った。受診したところ、眼球に傷がついていた。(歯科衛生士) | 6,000円 |
3−4 臨地実習中に起こった傷害事故状況−めまい等、想定外トラブル多発
臨地実習での傷害事故では、介助中や患者さんとの接触でケガをする例が最も多くなっています。令和元(2019)年度では全体の25%(70件)を占めました。
第三者との接触では、保育実習中での子どもとの接触による事故が報告されています。同年度の報告では、14件ありました。子どもは予測できない行動をとることが多く、それによって学生が、たたかれたり、ぶつかったりして、体を痛める例が報告されています。小さな子どもと接する場合には、事故の可能性を考え、細心の注意を払って対応することが必要です。
実習先での移動事故が同年度は24%(65件)とその次に多くなっています。慣れない環境の中で動くことで、備品にぶつかるなどの例が報告されています。(図10)
実習中の気分の悪化、めまい等で転倒し、ケガをする例が、第3番目の事故理由として、同年度は19%(53件)ありました。実習中に手術や大量の血を見て気分が悪くなったり、体調不良から気分の悪化を招いたりする場合があります。夜ふかしなどをせず、万全の体調で、実習に臨むようにしましょう。
思いがけない事故として、在宅介護の実習中の正座による事故があります。訪問介護の実習中に、畳の部屋で正座をして話を聞き、足がしびれ、立ち上がった後に転倒してケガをする事故が、同年度は9件ほど報告されています。
実習準備・片付けでは同年度に20%(50件)の報告がありました。顕微鏡標本を作成するためのミクロトームを使う際に、刃で切り傷を負ってしまう例が5例ほど報告されています。
臨地実習中には、針刺し事故が発生する場合があります。検査が生じた場合は、図10の傷害事故の中には計上していませんが、同年度には111例の報告がありました。使用済みの針や医療器具で受傷すると、病気に感染する可能性もあります。安全上、大きな問題が起きかねません。細心の注意を払いましょう。
臨地実習中に起こった傷害事故例
実習施設での移動中 | |
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事故内容 | 保険金(円) |
臨地実習のオリエンテーションで、学生が外来施設を回った際に、患者呼び出し用モニターに気付かず、その角で頭をぶつけ、出血した。 | 6,000円 |
訪問介護先 | |
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事故内容 | 保険金(円) |
訪問介護の臨地実習の際に、正座をして患者や指導者の話を聞いた。足が痺れていたが帰ろうと立って、そのまま歩きだしたため転倒した。その際に左足をひねって、靭帯を損傷してしまった。 | 24,000円 |
手術等の見学 | |
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事故内容 | 保険金(円) |
病院見学中に、診療の現場で血をみて気分が悪くなり、めまいにより転倒した。その際に、頭部をぶつけ出血した。救急搬送され、頭部の検査と、打撲等の治療をした。 | 47,000円 |
患者との接触 | |
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事故内容 | 保険金(円) |
実習中に受け持ちの子どもの手を握って手遊びをしていた際に、手の甲を噛まれてしまった。擦過傷の手当てと、感染症の検査をした。 | 3,000円 |
針刺し事故 | |
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事故内容 | 保険金(円) |
診療室で麻酔(使用済み)のリキャップを行なった際に、針が右中指に接触した。出血はしておらず、事故後はすぐに消毒を行なった。感染の恐れがあるため、検査するよう指示された。感染等は確認されなかった。 | 18,390円 (事故日当日の通院日額+検査費用) |
4・賠償事故の状況
4−1 賠償事故の状況−自転車事故高額化の懸念
「Will」で報告された令和元(2019)年度の賠償事故の報告は1,940件で前年より9件減と、件数の面では大きな変化はありませんでした。賠償事故は毎年、学内での事故、臨地実習での事故の順で報告されており、同年度も同じです。(図11)
賠償事故における交通事故だけを集計すると、学校の登下校で16件、臨地実習先への移動で18件、学外・プライベートで126件、合計160件となりました。そのうち自転車事故が最も多くなりました。
自転車では100万円を超える高額賠償のケースも出ており、自分が重い責任を負ってしまう可能性もあります。傷害事故でも、自転車は移動手段の数で最も多くなりました。気をつけて自転車を利用しましょう。
平成30(2018)年度から、「Will」では交通事故などで、加入者様と被害を受けた方の交渉を代行する示談交渉サービスを行っています。相談件数は、令和元(2019)年度で事故件数73件(前年度65件)、支払件数が62件(同50件)となり、ご利用が増えています。学生さんが、ご自身の賠償の交渉をするのは大変なことです。今後も、ぜひご活用いただければと考えます。
移動での賠償事故例
自転車 | |
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事故内容 | 保険金(円) |
帰宅途中の交差点付近で学生の乗る自転車と、別の自転車同士の衝突事故となった。相手方が左側に倒れ、左足首を骨折。学生も打撲し、右手の一時的な感覚障害があった。示談交渉サービスを利用した。 | 68,414円 |
学生が自転車で歩道を直進中に、前方の自転車が急に方向を転換し、衝突してケガを負わせてしまった。示談交渉サービスを利用した。 | 1,399,000円 (内訳:慰謝料、相手方治療費含む) |
4−2 賠償事故の内訳―備品中心、患者のケガは少数
賠償事故の中心は養成施設、実習先での器物の破損に対する賠償です。令和元(2019)年度で、実習での患者さんに対する事故は同年度3%(57件)でした。その大半は器物の破損に対する賠償で、患者さんにケガをさせてしまった例は3件でした。
実習先での事故は、患者さん、実習施設、養成施設等の関係者が多く、大きな影響があります。学生の皆さまにおかれましては、事故に注意して、臨地実習に臨んでください。
臨地実習での賠償事故例
患者の備品の破損 | |
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事故内容 | 保険金(円) |
歯科衛生学科の学生が印象材(歯の型をとる材料)を担当歯科衛生士に手渡そうとした際に、手をすべらせて誤って患者の衣服に印象材をかけてしまった。 | 3,800円 (服の弁償費用) |
患者のケガ | |
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事故内容 | 保険金(円) |
実習中、昼食準備のために患者をベッドから車いすへ移動させようとした。その際に患者の左前腕が学生の体から離れてしまい、アームレストと患者の側腹部に挟まれる形になってしまった。腕を引き出そうとしたときに擦れて、患者の左前腕に8センチの皮膚剥離の傷を負わせてしまった。 | 8,860円 |
4−3 臨地実習中の賠償事故状況―備品への補償が中心
臨地実習中の賠償事故では、臨地実習先の備品破損の補償が8割強を占めました。(図14)実習先、患者さんへの配慮から、補償を活用される方が多いことがうかがえます。
4−4 物品破損の種類−水温計、ロッカーなど身近な物が多い
臨地実習で破損した物品報告の上位15件を図にしました。(図15)支払い件数は576件でした。水温計・温度計・体温計の破損(94件)、ついで患者さんの私物(54件)、鍵の破損・紛失(53件)、ロッカー・ロッカー備品(備え付け鏡等)の破損(51件)が多くなっています。患者さんの私物では、コップ、鏡、時計、衣類といった、身近にある壊れやすい物を破損する報告がありました。実習で学生の皆さまが頻繁に触るものです。その取り扱いに注意しましょう。
学校で破損した物品報告の上位10件を図にしました。(図16)支払い件数は1,271件です。鍵の破損(紛失含む)(243件)、ロッカーとその備品の破損(183件)、水温計・温度計(149件)の順になっています。学生さんが学校生活で頻繁に接触する機材に、破損が集中しています。その取り扱いに注意しましょう。
物品破損の賠償事故例
臨地実習での物品の破損 | |
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事故内容 | 保険金(円) |
臨地実習で、学生が滅菌器から滅菌済の器具が入ったカゴを取り出した際に、後ろにあった簡易棚にぶつかり、そこにあった砥石とキュレットスケーラーを落下させてしまい破損した。 | 11,680円 |
学校内での物品の破損 | |
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事故内容 | 保険金(円) |
入学式に学生用個人ロッカーの鍵を預かった。学年の終わりに、学生が鍵の確認をしたところ、見当たらず紛失が分かった。そのため鍵を取り替えた。 | 8,640円 |
分娩介助練習中に、学生がベッドに置いてあった人体の模型を落とし、破損させてしまった。 | 166,320円 |